あなたは生粋のガールズスケーター?

今では女の子でも心地よくスケートできる環境がある。私は先輩スケーターたちと話すたびにそう感じる。完全なる男社会だった世の中が女性も少しずつ活躍しやすい場となってきているように、それがスケートシーンにも同じことが言えるだろう。最近ではガールズスケーターがメディアに取り上げられたり、アパレルやPV撮影があったり、チームのライダーとして抜擢されたりと注目されていることは素晴らしい。しかし、私は普段から”ガールズ”という言葉に違和感を覚えてしまうのが正直なところである。体が女性だから、ルックスが女性だからといって、”ガールズ”というラベル付けを好まない人がいるかもしれない。その反対に、体やルックスが男性でも、心は”ガールズ”として生きている人もいるだろう。

人間の性には、生まれた時の生物学的な性を示す”身体的性”、自分が自分の性別をどのように認識しているのかを示す”性自認”と”性表現”が存在する。欧米では、プロナウンスという自分の心の性を他人に理解してもらうため、自己紹介の際に相手に伝える習慣が若い世代を中心に見られる。例えば、自分の心の性が男だという時は ”he/him(彼)” といった男性の代名詞をアイデンティティとする。他にも女性は “she/her(彼女)”、男でも女でもなく中性的だという場合には “they/them” と表現する。なかには自分の名前を代名詞として使用する人も少なくない。このような男女二元論にとらわれずに生きる人のことをXジェンダーやノンバイナリーと呼び、”性自認”のセクシャルマイノリティに当てはまる。

また、私たちは異性愛中心主義のなかで生きているため、同性愛者のレズやゲイ、バイセクシャルは”性的指向”のセクシャルマイノリティとなる。今回は、アメリカ西海岸を中心に活動しているクィア(セクシャルマイノリティの総称)スケートチーム There Skateboards を紹介したい。主なメンバーはいるものの、チーム自体は誰でもウェルカムである。女性やトランスジェンダー、アジア系からヒスパニック系などバックグラウンドも多様だ。彼らは「今あるスケートのスタンダードを変えていく」「誰もが気持ちよくスケートできる環境を」などの思いとともにスケート界に新たな輝きを見せている。

セクシャリティはグラデーションであり、男女に分割することは不可能である。人それぞれ違くて、多種多様な部分はスケートと似ているかもしれない。今はガールズスケーターとして大きく分類されているが、アメリカのように今後は、さまざまなマイノリティグループがスケートシーンで活躍していくことを私は願う。そのためにはクィアな人をジャッジせずに受け入れる心をもつことや、カミングアウトしやすい環境づくりを意識することが大事だろう。