愛されるノガワが閉鎖した経緯と再開に向けて【7/17は清掃日】

コロナやオリンピックの影響を受けて莫大な増加を見せたスケーター人口だが、それにともないどのような変化があったのか。”ソーシャルディスタンス” と呼ばれていた期間は、多くの人がSNSやニュースで情報を得ていただろう。閉鎖していたパーク周辺で禁止されていながら滑る人々や、なかにはパーク内に侵入して滑る人も見かけられた。次第にコロナが落ち着き、規制が緩和されてからは「こんなにスケーターおったんか!」と思ってしまうほど、多くの人が再開したスケートパークに現れた。こうして関東各地のスケートパークは現在も “パンク状態” が続いている。これまでスケートパークやスポットは、”ローカル” と呼ばれる人々によって守られてきたといっても過言ではない。スケートボードの環境を整えるのはもちろんのこと、スケートボードをはじめたばかりの人に乗り方からルール、心がまえまでもを伝授していた。しかし、急激なスケーターの人口増加によって、ローカルの目が届く範囲を越えていたり、さらにはローカルがその地を去ってしまったり。こうしてスケートパークの安全は、ローカルの力だけで守っていくのが難しくなっているのが事実である。

スケートパーク増設の需要はあるが、今あるものを継続させていくことも大切だ。通称 “ノガワ” は、東京・府中市にある都立武蔵野公園内に位置するスケートエリアである。地元のスケーターが90年代中期にクォーターを設置して滑りはじめたのがノガワの原点。それ以降は公園事務所と東京都の黙認のうえ、ローカルスケーターが中心となって管理し続けていた。しかし現在は、利用が全面不可となっており、再開のめどはたっていない。2022年3月5日(土)のこと、トリックに失敗したスケーターのスケートボードが、スケートエリア外である目の前の東八道路に飛び出し、走行中のバイクと接触する事件が起きた。バイクは転倒、運転手は負傷し救急搬送された。肩を骨折したため入院をし、無事に退院したとのこと。当日居合わせたローカルスケーターたちを中心に事故の初期対応は行われ、以後を引き継いだ公園管理事務所から、当日の夕方ごろにローカル代表に連絡があり、緊急の話し合いがもたれた。警察の指導のもと、スケートエリアは一旦全面閉鎖されてしまったのである。その翌日には、ローカルスケーターを中心にスケートエリア内セクションの閉鎖作業を行った。

公園管理事務所から東京都への事故の報告をせざるを得なかった今回の事件をきっかけに、東京都担当者と書類上で連絡を取り合うことに。顛末書の提出以外に、ノガワがスケートボード可能になった経緯や管理運営状況、今後の安全管理策の提案などを伝えたが、1カ月後にようやくきた東京都の返事は、なんともいえない厳しいものであった。都立公園内に位置する場所であるがゆえに、スケートエリア周辺に柵を設置するといった改善案だけでは、再び事故が起きた際に責任の所在が見えない運営であることなどを指摘された。公園管理事務所には認められていても東京都からは黙認されていたグレーな運営方法が裏目に出た形である。グレーな存在であるがゆえに今までのローカルスケーターのグループはあくまでスケーター向けに情報発信をしており、東京都との関係性上、他の公園利用者等の公けに対して情報発信を意図的に避けてきた経緯がある。こうして今、団体の設立は必須であると判断されたのだ。全国各地にローカルスケーターが管理・運営をしているパークは存在している。祖師谷公園のスケートエリアは、ローカルスケーターの任意団体が公園管理事務所との共同管理を行う。しかし今後のノガワの場合は、管理や運営から、事故やクレーム発生時の責任の主体が必要であり、他の公園利用者などからのアクセスも可能な任意団体やNPO法人と呼ばれる団体であることが条件となる。そして6月中旬に東京都より再開の方針を提示された。一定レベルの安全策が施されれば再開の可能性があるとのことで、具体的な計画書、書面作成にあたって公園事務所との話し合いが行われることに。ノガワが要望していたスケートエリアの清掃も同日である2022年7月17日(日)に行われる。

僕は野川公園でスケボーをはじめたのは幼稚園の頃です。

最初はお父さんから教わっていましたが、小学校に入ってお父さんより上手くなってからは、野川に集うローカルのメンバーが僕の先生でした。

ビデオを撮っていただいたり、楽しく滑るための工夫をしたり、トリックを決めた時、賞賛し会えたり自分のスケボースキルを高められる酒匂の先生が野川には沢山いました。

また、コロナの中、学校に行けない時や嫌なことがある時もローカルのメンバーと話すことで支えていただきました。

他にもセクションを皆でメンテナンスしたり掃除をしたり、パークを良くするためにみんなで作業をした事は、とても素敵な経験です。

今は事故がありパークは閉鎖されています。

いつものパークに通えないことは、とても寂しいです。今後事故が起こらない工夫がされて、パークが再開したら、遊びに来てくれる人がスケボーが上手になれるようサポートしてあげたいです。

O・A(小6)

1日も早くノガワの再開を待ち望んでいる人々のなかには、これまで非公式であったスケートパークならではの自由さが失われるのではないかという不安の声もある。しかし、まずはスケーターが交流できる場を取り戻すことが重要だろう。どんな形態であろうとも、その場で積み重ねてきた思い出や出来事は未来に受け継がれていくはずだ。さらに今後は、都立公園内にスケートパークがいくつか新しく設計されると予測され、そのひとつとしてノガワが位置する武蔵野公園も候補としてあげられている。もしそれが実現するならば、団体設立をしたノガワローカルたちが中心となり、パークの計画から設計、運営にまで携わるべきである。新しい場所を作っていくことは簡単であるが「その場所を愛し行動できるスケーターたちがいることでその場所は存在し続けることができる」という現実を多くの人々に知ってほしい。新しい場所であってもこれまでの “スケートパークの在り方” を守り続けることが大切だ。

武蔵野公園スケートボードエリア(ノガワ)の清掃

日時:2022年7月17日(日)10:00~

持ち物:軍手(必須)、ほうき、鎌

※雨天中止・公園内滑走禁止

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